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ちと怖かった思い出に揺れるぶらんこがあります。
それはまだ2人が若かりし頃、いつものように食事をして
ドライブを楽しみ、いつものように近くの夜の公園にて
現在の日本経済について熱く語っていたときでした。
「少し歩こうか・・・?」と私
「ええ」と将来、妻になる彼女
この公園は思川に沿うように作られた公園で高低差があり
当然のように滑り台やぶらんこ等の遊具設備もありました。
外灯が少ない緩やかな長い坂を上ると、それは見えてきました。
その時の2人の会話は、彼女の親友が今日のこの日この時間に
東京で自殺をしたという話題でした。
ふと目を上げると近くの薄暗い外灯に照らされて
ぶらんこが揺れているのが見えました。
こんな夜なのにまだ子供たちがいるのかと思いました。
なんとなく嫌なので2人は立ち止まり、坂の途中にて様子を見ていました。
1分・・2分・・何ということでしょう!!
誰も乗っていないぶらんこの動きは収まりません・・。
それどころかキィーキィーと小さな音を立てながら、だんだんと前後に
大きく高く振られているようです。
彼女は泣き出すし、それ以上坂道をあがる勇気など私には
持ち合わしておりません。
それからは急いで車に戻り、何もせずに彼女を家まで送っていった記憶です。
ちなみに風は無風でした。
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