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あれからも、モグラとの戦いは土中下で静かに続けられております。
捕獲器には相変わらず入ってくれません。
今日こそは入っているかなと、芝生にひざまずき筒を掘り起こす。
筒の中からは、わずかばかりの土がひざに零れ落ちる。
私は立ち上がりながら、両手でひざの土を払い
空を見上げて、ため息ひとつ。
この広大な庭の真ん中に立ち、遥かな地平線に沈む夕日を
見ていると、映画「風と共に去りぬ」のラストシーンの主人公
私はスカーレット・オハラ庄助。
たくましく生きよう、モグラなんかに負けないぞ!
そんな折、私のオフィスに現れたのは
長靴を履き泥だらけの作業服、頭には手ぬぐいでほっかぶりをした
近所のとっつぁんです。
3時のティータイムだったので、いつものようにドンペリを
くみかわしながら、モグラの話題になりました。
とっつぁんは言う
「それは君、なぜモグラはそこにいるとおもふ
それは土がいいからであり、食料である虫が沢山居るからである」
「はぁ〜、それはわかってます。
とにかく芝の中だけでも入らないようにしたいのです」と、私
とっつぁんは続ける
「では、芝業を営んでいる人の話を語ろう
モグラはミミズや芝の根に付いた虫まで食べる
よって、芝が枯れて商品化できないといふ。
ならば、虫がいなくなればその場所にはモグラは来なくなるのである。
私は問う
「芝を痛めずに出来るのですか?」と
薬品の名は「ダイジストン」
しかし、これは少し臭いと言ふ。
もう一つ「ダイアジノン」がある。
これは無臭でゴマ状のものであり、素手でも撒くことが可能とのこと。
私は早速に購入し撒いて見るつもりです。
芝の中だけでも出てこなければいいのです。
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