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少年K 2
 協和 住夫  - 04/1/15(木) 21:56 -

引用なし
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   Kと6歳離れた妹。

実は、Kの記憶にはないのだが
Kが生まれて2年後に次男が生まれている。
名前は「節夫」というのだが、4歳で風邪をこじらせ亡くなっている。
つまり、次男のお葬式と長女の出産が重なった昭和35年なのである。

その冬の終わり、Kは父の弟夫婦の家に預けられた。
名前は「光男」というのだが、Kは「東京のおじちゃん」と
呼んでいた、30代の人に対してこの呼び名はないと思う。
「おじちゃん」はKをとても可愛がり、どこでも連れて行ってくれたという。
東京タワー・上野動物園、果ては奄美大島まで連れて行った。
船酔いになりながらも、真っ赤な椿の花をくぐり山を登り雲の上に出た記憶を
Kはまだ覚えている。

こんなこともあった、都内の駅のホームは階段が多く
6歳や7歳の足ではつらいものがある、Kは「こわいよ」と
おじちゃんにいう。
おじちゃんは、「なんか、恐いものでもみたの?」という。
Kは分からなかった、(くたびれてんのに、なに言ってんだっぺ)と
心で思ったらしい。
Kが方言という言葉を知るのは、まだ早いのかもしれない。

おじちゃんは池袋駅の前に建つ6階建てアパートの1階に住んでいたのだが
そこでKは九死に一生の経験をしている。

アパートの中庭には公園があり、ブランコや滑り台ジャングルジムなどが
作られていた。
Kは一人でそこへ遊びに行くのだが、その日もいつものように
台所の脇のドアをあけ、庭に面する低いフェンスを乗り越えていった。
2〜3歩あるったところで、すぐ後ろでガチャンと音がした。
振り返ると植木鉢が割れて落ちている。

何事もなかったようにKは中庭のブランコにのったのだが
ブランコにのりながら、改めてアパートを見ると各ベランダには
植木鉢が並べてあるのが見えた。
Kは考えた、あの割れた植木鉢はどこから落ちたんだろう?
もしかしたら、もう少し遅かったら頭に当たったのかな?
ブランコをこぐ手がふるえてきた。

                              続
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少年K 2 協和 住夫 04/1/15(木) 21:56

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